中川修子が綴る「介護ブログ」

在宅介護―お掃除編

家政婦とヘルパーは違う

ある方のお宅にお掃除に行きました。
お客様はじーっとヘルパーさんのやっていることを見ています。

―掃除の仕方―
①はたきの掛け方
②掃除機のかけ方
―洗濯の干し方―
①シワを伸ばさないで干す
②靴下のゴムを上にする人、下にする人

介護保険制度がスタートし、ヘルパーさんに同行して家族やご本人に自己紹介するとき
「ヘルパーの資格証」のコピーを提示し、「携帯用の証明書」と併せて
“家政婦ではない「介護保険制度」のサービスをする介護のプロです”
と説明しました。

その頃はまだ、“ヘルパーさん”という言葉にもなじめていない時期でしたので、
「へー、そんな資格があるんですか~」と言われていたものです。
ここで家政婦とヘルパーさんの違いを認識して頂くことが重要です。

お掃除七つ道具

一人暮らしの女性の方は目も少し弱くなってきていて、家の中ですごしているようでした。
「水道料金をとても気になさる方で、思うように水を使わせてくれなくて、お掃除がやりにくい」
というヘルパーさんからの報告で、1回私が入ってみることにしました。

私が挨拶を済ませ、
「さぁ、お掃除を始めます。どこから始めましょう?」
と問うと、
「そんなに私の家、汚れてる?」
と聞かれました。

やはり、一人暮らしと言っても、床もあまり通らないような隅っこはうっすら白くほこりがたまっていました。
なるべく白い雑巾で拭き掃除をして
「汚れているように見えなくても自然にほこりは溜まってしまうんですよね、ほら」
と、言って雑巾を見せると
「あら本当だ!私はヒザが曲がらないから中々床は掃除できないのよね」
と納得してくれました。
照明の上もほこりが溜まっていたので、私が椅子の上に立って、照明のカサの上を拭いているのを見て
「そんなところ自分ではできないものね~」
と言ってくださいました。
「そうですよ。私たちはみなさんができないところをお手伝いさせてもらいにきてるんですよ。」
と言うと
「そう、悪いわね。助かるわ~!」
と言ってくださいました。

私はお掃除のサービスが入っている時、お掃除七つ道具を持っていきます。
1.新しい雑巾
2.竹串
3.綿棒
4.弁当用の醤油の入れ物に漂白剤
5.小さい入れ物に研磨剤
6.つまようじ
7.ボロ布

ちょっとしたことですが、細かい部分の掃除をする時やガスコンロの点火部分が油でゴテゴテになっていたりするので、小道具を持っているととても便利です。
また、高齢者の家には、漂白剤やクレンザー等も置いていない家もあるので、持っているととても助かりました。

私が必ずその道具を使う前に
「お掃除七つ道具!!」とマジックショーのようにバッグから七つ道具の入ったミニポーチを取り出すと、
「何が始まるの!!」と目をキラキラさせます。
「この竹串で、ガスコンロの火が点く所をお掃除します。してもいいですか?」
と聞くと
「へぇ~!いいわよ。」
と興味深そうに私の側によって
「何を始めるの?」
と覗き込んできます。

私が
「ここに、油汚れがこびりついていると、火の点き方が悪くなるからお掃除しておきましょう!」
と竹串や綿棒で力を入れれず、そっと汚れをふき取ります。
「わ~っ!結構ゴミがついているんだね。ヘルパーさんってなんでもできるんだね」
「はい、ヘルパーさんはお掃除もプロなんですよ」と言うと
「へ~、すごいね。また来てね」と言ってくださいました。

注意
漂白剤で茶渋をとる時やクレンザーを使う時も必ずご利用者様の了解を得て行っています。
茶渋がついている茶碗を好まれる方もいるそうです。