中川修子が綴る「介護ブログ」

「ハッピーニューライフ」誕生

私が、独立する前に勤めていた有料老人ホームでは、当時、入居者相談員を始めたばかりの私に「入居金を何千万も払ったのだから、そりゃあ素晴らしいサービスをしてくれるんだろうな!」と、入居者様から言われたことがあった。その期待を裏切らないサービスを、現場のスタッフが提供してくれることをただただ願うばかりだった。

しかし、期待とは裏腹に、私が目指す理想の介護とははるかにかけ離れたものであることが、在籍年数を増すごとに増えてきた。
例えば・・・

1、ホーム長の異動があった時、スタッフ全員が辞め、以後日勤スタッフが一人になって入居者様がとても不安がってしまったこと

2、廊下で平気でオムツを換えられ、とても戸惑った顔をした人がいたこと

3、看護師に「1日くらいお風呂に入らなくても死にはしないよ!」と言われ、カンカンに怒っていた人がいたこと

4、入浴時、1本の歯ブラシで全員の歯を磨いていたこと・・・等々

人権も何もあったものではない。
余りにもひどい現場を目の当たりにして、もうこれ以上このホームに入る人を募り、お世話をすることは、自分自身とても苦しくなった。

理事長にこのことを告げ、辞職したい旨を伝えた。返ってきた言葉は「眼をつぶってくれ・・・」というものだった。さらに訴える私に返ってきた言葉は「片目をつぶってくれ!」だった。

“もうこれ以上ここでは働けない”

と結論を出した。

自分の理想にどれくらい近づけるか?
私についてきてくれる人はいるのだろうか?
という不安の中、独立し、まずは正しい情報を伝えていきたい。

「プツンプツンの介護ではなく、元気な方から終の住み処、施設入所までトータルでお世話できる」会社を設立した。

「こんなサービスを待っていた!」と、予想以上の反響でNHKやマスコミ、講演会で、これでもかというほど、取り上げられた。そして数年後、数か所の老人ホーム設立のコンサルタントを経験した後、「ハッピーニューライフ東船橋」を立ち上げた。

その名のごとく、老後ではなく、ハッピーなニュー(新しい)ライフ(人生)を、送ってほしいとの願いを込め、「ハッピーニューライフ東船橋」が2002年4月、誕生した。