中川修子が綴る「介護ブログ」

小っちゃな幸せを見つけよう!

自分がやりたい介護、できていますか?

先日、介護の研修会に出席しました。すると冒頭に講師の方が、
「皆さんは今、自分がやりたい介護をしていますか?」
と問いかけてきました。
「えぇ~‼」

私は介護保険制度になってから、
「介護保険でのサービスは皆さまの税金なので一律なサービスを提供しなくてはいけませんよ。」
「最低の生活を保障するものですよ。」
「余計なことはしてはいけませんよ。」
という教育を受けて、当然ながらそれにのっとってサービスをさせていただいてきました。

介護保険制度が始まる前から介護の会社を立ち上げ、
「本当にその人がその人らしく生きられるよう、お手伝いしたい」
という思いで、
「娘が一人できたと思ってくださいね」
と家族の一員になったつもりでお客様と接していました。

が、介護保険制度がスタートし、一変しました。
私たちも今までのご利用者様も戸惑われたのは当然です。

当初『サービスが悪くなった』といわれ、介護保険制度の説明をし、サービス料金も1割負担になる特典もお伝えしましたが、ご理解いただくまでには少し時間がかかりました。

介護保険スタート前のサービスでは、

 10年も前に奥様が亡くなられ、それからずっと取り替えていないという手元が黒くゴテゴテになったこたつ布団を使っている方がいらっしゃいました。
「新しいものに取り替えていいお正月を迎えましょう!」
とこたつ布団を買って(布団代は本人負担)きて、新しいのに取り替えました。
「あー、これで気持ちよくお正月が迎えられるなぁ~」
と喜んでくださいました。そしてその方がものすごい賞をいただいたという鷹の彫刻を飾っていたのですが、私にお礼といってカエルの置物をプレゼントしてくれました。そのカエルは今でも飾らせていただいています。

 ある時は、子どもさんのいらっしゃらない70代の男性のお宅のガラスがドロドロになっていました。気になったので、
「ガラスを磨きましょう!」
と雑巾とバケツを用意していたところ、ご利用者様が、
「新聞紙で磨くとキレイになるの知ってるか?」
と得意げに新聞紙を持ってやってきました。私も知ってはいたのですが、そこは花を持たせて、
「えっ、そうなんですか? よくご存知ですね。どうやってするんですか?」
と知らないふりをして、教えてもらいながらガラスを磨きました。
色々おしゃべりをしながら…まるで親子のように…

楽しい思い出がいっぱいあります。

もちろん介護保険制度が始まってからも、お客様が喜ぶことを色々考え、驚かせたり、笑わせたり…

そんな時、
なんて介護の仕事って奥が深いんだろう!
自分を楽しくさせてくれるんだろう!
っていつも思っています。

介護の仕事をされている方へ

介護の仕事って本当に大変‼ 特に施設は24時間365日営業です。
辛いことも沢山あります。
でも嬉しいこと楽しいことも沢山あります。

それを見つけて、それを糧にして、介護の仕事を続けてほしいという思いです。

毎朝BS3chでAM7:45~『グレートトラバーズ日本300名山一筆書き』をしている登山家の田中さんという方がいます。その方の映像を見ていて思いました。登山の途中も小っちゃな幸せを見つけて、喜びを感じ、過酷な登山に挑み続けているのです。

  • 鹿児島では砂風呂に入ったり
  • 山あいの中で小さな花を見つけてほっこりしたり
  • 朝早く出発して山の頂上で朝日を仰いで感激したり

厳しい環境の中に自分がいても小さな幸せを見つけて、また、自分のやっていることを頑張り続けることができるのではないか。この田中さんと介護の仕事って似ているところがあるな~と感じています。

老人ホームで

  • おしゃべりが苦手だった方が、食堂に来て皆さんとおしゃべりができるようになったよ
  • お掃除をヘルパーさんと一緒になってお手伝いしてくださるようになったよ
  • いつも食事を全部食べられなかった方が食べられるようになったよ

本当に本当に小っちゃな幸せを、いかに自分がみつけて自分も幸せになれるか?

今月7月、私の会社「ハッピーニューライフ市川真間」で、〝市川のおいしいもの紹介〟の一つの〝丸ごと桃ケーキ〟を入居者の皆さんとスタッフとでいただきました。入居者さんの中の1人が、
「私、桃が大好きなの!」
といってとても喜んでくださって、他の方も、
「こんなの初めて食べた!」
と満面の笑顔を見せてくださいました。
私の作戦大成功‼

それから、スーパーの店頭で昔懐かしい〝ラムネ〟を見つけました。
「あっ! 皆さんも懐かしむだろうなぁ」
と思い即買い、皆さんのもとに届けました。
予想通り、
「ウワッー懐かしいー」
といって喜んでくださいました。
もうその笑顔を見るだけで『私は幸せ~‼』です。

その日は書道の日でもありました。男性の入居者さんも、最初はとんでもない字を書いていたのですが、段々上手く書けるようになり皆さんもビックリです。
『あきらめない介護』とはこういうこと?と思います。

若いスタッフさん達も、自分の持っている才能をどんどん職場に活かして、辛いことも多いと思いますが、日々、小っちゃな幸せを感じて介護の仕事から離れないでください!

このたび、市川市菅野4丁目に学びと癒しの場『シニアの学校』を開設します!

また詳細は次回に。