中川修子が綴る「介護ブログ」

3,介護スタッフにエール!

「目が見えなくなったって 歩けなくなったって 終わりじゃないヨ」

私が独立する前に勤めていた老人ホームでこんなことがありました。

眼も悪くなり、足を悪くなり、車いす生活になってしまったAさんは、毎日、「情けない…情けない…もう死んだ方がましだ…」と言って、いつもうなだれていました。

私は、何か力になりたいと思いつつも、まだ経験も浅く、いい知恵が思い浮かばないまま、しばらく時は過ぎていきました。
そしてある日、私が「Aさん、お寿司を食べましょう!」と言うと、眼を大きく見開いて「えっ!本当?」と今までに聞いたことのないAさんの喜びの声と初めて見たAさんの最高に嬉しがる顔を見ることができたのです。
早速次の日、Aさんのお部屋にお寿司を出前してもらい、久しぶりに、私と日頃Aさんと仲良くしているお友だちも一緒に、他の人に気づかれないようにコッソリ呼んでお寿司を頬張りました!
(ホーム長の許可をとり、もちろん私のおごりです。)

「美味しいね~美味しいね~」とAさん。

私が「美味しいね!ねえAさん、Aさんは口から物が食べられて幸せね!この老人ホームの中には口から食事も摂れなくなって鼻や胃からチューブで栄養を摂っている人もいるでしょう?!Aさんはまだまだ幸せよね!口から美味しいものを食べられるのだもの…」と言うと、

Aさんは「うん、そうだね。まだまだ私は幸せだね!」と言ってくださいました。

そして翌日私が出勤すると、ホームの玄関ロビーで満面の笑みを浮かべて元気いっぱいに「中川さん、おはよう!」と出迎えてくれました。

「口から物を食べられなくなったら不幸⁉」という話ではありません。

ただ、少しずつ身体の機能が衰えていってしまう悲しい現実は受け入れていかなくてはなりません。その中で、いかに残されている機能に感謝し、何かに喜びを見出し、前向きに生きてもらえるようお手伝いしていけるかが重要です。

改めて介護の仕事の素晴らしさを実感できた出来事でした。